■COP16の正しい読み方■
~カンクン合意のポイント その2~

さる12月11日、カンクン(メキシコ)で行われたいたCOP16(気候変動枠組条約第16回締約国会議)が閉幕しました。最終日、「カンクン合意」が採択されました。もちろん、日本も合意しました。そこで今回は、国内の環境政策にも大きく影響する可能性もある同合意内容を、分かりやすく解説したいと思います。

■カンクン合意の理解ポイント

◎理解ポイント(1)/2013年以降の削減義務値は先送り
COP16での一つの重要な焦点は、2013年以降の先進各国の削減義務値の行方でした。実質的に「京都議定書第:1 約束期間と第2 約束期間との間に空白が生じないことを目指して協議を進める」など、COP17へと先送りされました。COP16での削減値設定の回避を目指していた日本にとっても、最低限の目標をクリアできた状況だと考えられます。

◎理解ポイント(2)/日本の削減義務値に関する展望
2013年以降の削減値は先送りされたものの、日本に要求される削減値が極めて厳しいものになることは間違いありません。カンクン合意に含まれる「先進国全体で、2020年段階で1990年比25~40%の温室効果ガス削減が必要となることを認識」「2020年段階で1990年比25~40%削減に向けて、先進国に対して削減目標値のさならる引き上げを要請」の2点に日本は合意しています。2013年から20年にかけて、日本にも1990年比25%以上の厳しい削減値が要求される可能性が極めて高いと考えられます。

◎理解ポイント(3)/途上国に対する管理体制の整備
今回のCOP16で日本は、急速に成長している途上国も温室効果ガス削減へとシフトさせる新たな仕組みづくりを重視しました。結果、今回のカンクン合意によって、途上国は削減状況に対して定期的な国際検証を受けることになりました。検証無しに、先進国のグリーン気候基金を活用することも難しくなります。実質的に、途上国を取り込んだ新たな枠組みづくりに着手できたと考えられます。

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2月 24, 2011 ■COP16の正しい読み方■ |

■COP16の正しい読み方■
~カンクン合意のポイント その1~

さる12月11日、カンクン(メキシコ)で行われたいたCOP16(気候変動枠組条約第16回締約国会議)が閉幕しました。最終日、「カンクン合意」が採択されました。もちろん、日本も合意しました。そこで今回は、国内の環境政策にも大きく影響する可能性もある同合意内容を、分かりやすく解説したいと思います。

■カンクン合意の主な内容

◎先進国全体で、2020年段階で1990年比25~40%の温室効果ガス削減が必要となることを認識
◎2020年段階で1990年比25~40%削減に向けて、先進国に対して削減目標値のさならる引き上げを要請
◎京都議定書:第2約束期間の削減数値目標については決定せず
◎京都議定書第:1約束期間と第2約束期間との間に空白が生じないことを目指して協議を進める
◎途上国は、温室効果ガス削減状況に関して2年ごとに国際的な検証を受ける
◎途上国支援策として、先進国によるグリーン気候基金を創設
(1)短期資金/2010年~2012年の3年間で短期資金で300億ドル
(2)長期資金/2020年までに1,000億ドルを拠出

■カンクン合意に対する、国内主要省庁の見解(1)外務省

カンクン合意に関する見解が、外務省のWebサイトで公開されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kiko/cop16_position2.html

(1)今回のカンクン合意では、コペンハーゲン合意に基づき、先進国と途上国の両方の排出削減プレッジが気候変動枠組条約の下で正式なものとして位置づけられると共に、森林保全や資金、技術などに関する内容もバランスよく盛り込まれた。

(2)カンクン合意では、京都議定書に関する我が国の立場を確保しつつ、すべての主要国が参加する公平で実効的な新たな国際枠組みの構築に向けて前進することが出来た。

(3)カンクン合意の採択に向けた議長国メキシコの努力に敬意を表すると共に、今回のカンクン合意を発展させた新しい一つの包括的な法的文書の採択に向け、引き続き交渉の進展に尽力していく。

■カンクン合意に対する、国内主要省庁の見解(2)環境省

環境省の見解も、Webサイトでも公開されています。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13255

(1)COPでは、「コペンハーゲン合意」に基づく、2013年以降の国際的な法的枠組みの基礎になり得る、包括的でバランスの取れた決定が採択された。その一部として、同合意の下に先進国及び途上国が提出した排出削減目標等を国連の文書としてまとめた上で、これらの目標等をCOPとして留意することとなった。これにより、我が国が目指す、すべての主要排出国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みの構築に向けて交渉を前進させることとなった。

(2)CMP では、京都議定書第二約束期間に対する各国の立場を害しない旨脚注で明記しつつ、COP と同様に先進国の排出削減目標をまとめた文書に留意することとなった。また、AWG-KP の作業の成果を踏まえ、今後の交渉の土台となる文書が作成された。

(3)AWG-LCAは、さらに一年間作業を継続することが決定された。AWG-KP での作業も引き続き継続される。今後は、2011年末に南アフリカにて開催されるCOP17・CMP7に向け、これら作業部会においてCOP16・CMP6での合意内容を基礎とした交渉を続けることとなる。

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次回も引き続き、カンクン合意のポイントを解説いたします。

2月 17, 2011 ■COP16の正しい読み方■ |

■COP16の正しい読み方■
~COP16の主役 その3~

さる11月29日から12月10日、メキシコで行われたCOP16(国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議)。今回のCOP16では、良くも悪くも最初から最後まで、実のところ「主役」は日本だったように感じます。そこで今回もCOP16期間中の日本に関して、分かりやすく解説します。

■COP16開催中に行われた、9団体の緊急提言

開催中の12月9日、日本国内では9団体による共同記者会見が開かれCOP16に向けた緊急提言が行われていました。9団体は、石油連盟、セメント協会、電気事業連合会、電子情報技術産業協会、日本化学工業協会、日本ガス協会、日本自動車工業会、日本製紙連合会、日本鉄鋼連盟。いずれも、今後もし日本が厳しい排出量削減値を背負った場合、生産活動を含め事業全体に極めて大きな影響が出ることが予想される業界団体です。主張としては、「COP16で、頑張れ日本」です。今回の日本政府の断固とした態度には、こうした国内主力産業と国内経済、そして雇用に対する配慮が感じられます。
以下は、12月9日に行われた日本自動車工業会/志賀会長の主なコメントです。

(1)現在、開催中のCOP16の冒頭において、日本は、「京都議定書の延長は、地球環境の改善をかえって遅らせる可能性すらある」「日本はいかなる条件付けがなされようとも京都議定書の延長にはくみさない」と、真に世界全体の温暖化を防止する上での正論を明確に述べ、私たち産業界は、この発言を強く支持しているところです。

(2)いかなる形であれ、『京都議定書の延長』は、極めて不公平かつ実効性の乏しい枠組みが、今後さらに長期間継続することにほかなりません。これは、我が国産業が国際的な「イコールフッティング」を図れない状況が長期化し、経済・雇用をはじめ国民生活に悪影響を及ぼすばかりか、地球温暖化対策を停滞させるものであります。

(3)我が国の主張に対し、京都議定書で削減義務を負っていない途上国からの反発は大きく、また先進国からも条件付きながら延長の提案がなされておりますが、他方、日本を評価する国も出てきているとも報道されております。

(4)間もなく議長国メキシコからの新たな提案が予想されるなか、今後とも困難な交渉が続くと思われますが、地球温暖化問題の真の解決のため、政府におかれては、「すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある枠組み」の構築に向けて、リーダーシップを発揮していただき、いかなる状況下でも、それとは相容れない『京都議定書の延長』を受け入れることのないよう、ここに緊急提言いたします。

COP16開催前ではなく、最終日(12月10日)直前で記者会見が開かれたところに、政府に最後まで対して断固たる姿勢を守り続けてほしい9団体の、並々ならぬ思いを感じます。
そして、こうした動きを経てCOP16は最終日、どのようにまとまったのでしょうか。次回、分かりやすく解説します。

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2月 9, 2011 ■COP16の正しい読み方■ |

■COP16の正しい読み方■
~COP16の主役 その2~

さる11月29日から12月10日、メキシコで行われたCOP16(国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議)。今回のCOP16では、良くも悪くも最初さから最後まで、実のところ「主役」は日本だったように感じます。そこで今回もCOP16期間中の日本に関して、分かりやすく解説します。

■COP16開催中に公表された首相官邸の公式見解

COP16開催中の12月7日、首相官邸では一つの文書が公開されました。タイトルは「気候変動:COP16 における日本の基本的立場及び京都議定書に対する立場」。中でも注目したのは、京都議定書に対する日本の立場。以下、同文書の内容です。

※京都議定書に対する日本の立場

(1)京都議定書は,主権国家に温室効果ガスの排出削減目標を初めて国際約束により義務付けたという点で歴史的な意義を有しているが,現行の京都議定書で削減義務を負う国におけるエネルギー起源のCO2排出量は全世界の排出量の約3割に過ぎず,削減規模という点で十分でない。

(2)したがって,日本として,一部の先進国のみが削減義務を負う現行の枠組みを固定化する京都議定書の第二約束期間の設定は受け入れられないというのが我が国の変わらぬ立場である。

(3)京都議定書は第二約束期間の設定の有無に係わらず存続し,日本は森林及び土地利用変化といった有益なメカニズムに関する議論に積極的に参画していく。

(4)COP16では,すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある包括的な国際的枠組みの構築につながる成果に向け,議長国であるメキシコをはじめ,各国と緊密に連携し,交渉の進展に尽力していく。

首相官邸から配信することで、より強く日本の統一メッセージとして世界に向けてアピールしたい、政府の強い意志を感じます。

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2月 3, 2011 ■COP16の正しい読み方■ |

■COP16の正しい読み方■
~COP16の主役 その1~

さる11月29日から12月10日、メキシコで行われたCOP16(国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議)。今回のCOP16では、良くも悪くも最初さから最後まで、実のところ「主役」は日本だったように感じます。そこで今回COP16期間中の日本に関して、分かりやすく解説します。

■経済産業省:有馬純審議官の演説

今回のCOP16で、世界各国を驚かせたのが会議初日の日本の経済産業省:有馬純審議官の演説でした。同審議官は、演説の中で「いかなる条件でも受け入れられない。20年の25%削減目標も京都議定書には書き込まない。」と、京都議定書の延長に断固反対する日本政府のスタンスを明確にしました。京都議定書を延長させることで、日本から一刻も早く開発援助を引き出したい途上国としては、まさかの展開だったと思われます。

■化石賞を受賞

初日の発言を受けて環境NGOは、あけて11月30日、「化石賞」に日本を選びました。同賞は、COPでの交渉にネガティブな国に対して皮肉を込めて贈られています。今回の受賞の理由は、京都議定書の延長に反対の姿勢を取っているため。COP15でも受賞しましたが、またしても受賞してしまいました。

■under any circumstances

COP16、3日目の12月1日。全体会合で、政府は日本の考えを強く主張しました。
「Japan will not inscribe its target under the KP on any conditions or under any circumstances」この発言の中で注目したいのは、「under any circumstances」です。意味は、「何があっても絶対に」。これが付けられたことによって、「日本はかなる条件の下でも、何があっても絶対に、京都議定書の延長には賛成しない」となります。日本の強い姿勢が伝わってきます。

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1月 26, 2011 ■COP16の正しい読み方■ |

■COP16の正しい読み方■
~京都議定書の問題点 その2~

11月29日、メキシコのカンクンでスタートし、12月11日に閉幕した国連気候
変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)。各国の思惑が入り乱れて、混乱が
予想されたCOP16ですが、今回からの新シリーズで、そのポイントを分かりやす
く解説したいと思います。シリーズ第2回は、「京都議定書の問題点」を
解説します。

■京都議定書の問題点(3)■
輸出を最重視したいアメリカの本音

2009年、経営破綻した自動車メーカーGM。しかし、さる11月に再上場を果たしました。またアメリカ政府はドル安政策と合わせて各国とFTAやTPPの協議を進めるなど、自動車の輸出増加を国をあげて支援しています。国内の自動車産業を保護したいアメリカ政府としては、自動車メーカーの生産調整を裂けて通れないCO2削減義務は、できれば背負いたくないというのが現在の本音です。2012年の終了まで、当初の削減義務値を持って京都議定書に急遽参加する可能性は、現時点でほぼゼロ。アメリカに削減義務を持たせることが重要なポイントだった京都議定書でしたが、最重要国が参加しないまま終わる可能性が極めて高い状況です。また、輸出を最重視したいアメリカは、ポスト京都議定書づくりに対しても、実に消極的です。

■京都議定書の問題点(4)■
マーケットリーダーを目指すEUの本音

EUは早期に排出権取引市場を開設するなど、環境で世界のリーダーシップをとりたい意向を持っています。今後、世界各国で排出権取引市場が開設されると、世界中の取引市場がリンクされ、EUの排出枠を世界中に売却可能となります。事実、EU全体でのCO2排出量は予定通りに削減に成功しています。このまま京都議定書が継続されれば、日本はEUから巨額で排出枠を購入せざえる得ません。経済危機に直面しているEU全体の利益を考えると、京都議定書が継続されることに大きく期待しているのが、EUの現在の本音でしょう。

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1月 19, 2011 ■COP16の正しい読み方■ |

■COP16の正しい読み方■
~京都議定書の問題点 その1~

11月29日、メキシコのカンクンでスタートし、12月11日に閉幕した国連気候
変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)。各国の思惑が入り乱れて、混乱が
予想されたCOP16ですが、今回からの新シリーズで、そのポイントを分かりやす
く解説したいと思います。まずシリーズ第1回は、「京都議定書の問題点」を
解説します。

■COP16の最大のテーマ

COP16最大のテーマは、「ポスト京都議定書」の合意です。1997年に議決した京都議定書で設定されている期間は、2012年まで。万一、このまま新しい枠組みができない場合、全ての国が2013年以降のCO2排出削減義務がゼロになります。一刻も早くポスト議定書の議決させたい国と、京都議定書を延長させたい国、それぞれの思惑が激しくぶつかり合っている状態です。

■京都議定書の問題点(1)■
削減義務は、全体の排出量のわずか約3分の1

1997年に議決され、2005年に正式な国際法として発効した京都議定書。もちろん日本も締約しています。しかし、京都議定書にはアメリカも中国も締約していません。現在、両国はCO2削減義務を負っていません。この点が大きく影響して、排出量換算では世界全体の約3分の1しか、削減義務が設定されていない状況なのです。その他、約3分の2の排出量(=排出国)は、法的に拘束されていない状況にあります。

■京都議定書の問題点(2)■
世界経済の大きな変化

京都議定書が議決された1997年当時と比較して、すでに世界経済の構造自体が大きく変化してしまいました。中国やインドなど、京都議定書の削減義務が設定されていない国が目覚しい経済発展を遂げており、排出量自体も急激に増加しています。特に現在世界No.1のCO2排出国である中国が参加してない状態では、京都議定書の実効性が乏しいと言わざるを得ない状態です。

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1月 12, 2011 ■COP16の正しい読み方■ |